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米国カリフォルニア州パロアルトのオルガニスト、ロドニー・ガーキがランチタイム(正午開演)にリサイタルを行います。また、夜7時からはロドニー、後藤香織、小島弥寧子、ナキ・スング・クリプフガンスら4人のオルガニストが揃い、C.B.フィスク社製オルガンOpus110“ルーシー”のもつ多様な音楽性と技術的な側面を垣間みられるデモンストレーションコンサートを行います。演奏曲目はバッハ、デュカス、スウェーリンク、メンデルスゾーン、ヴィドール、 近藤岳、ほか。“ルーシー”の持つオルガンの魅力を十分に堪能できます。ランチタイムリサイタルは午前11時30分開場、夜のデモンストレーションコンサートは午後6時30分開場です。事前予約は必要ありません。入場無料ですのでお気軽にお越し下さい。

 

オルガニスト

 

Rodney Gehrke (ロドニー・ガーキ)

カリフォルニア大学バークレー校音楽学部音楽学専攻修士課程修了。オルガン演奏を父である、ヒューゴ・ガーキ氏、パシフィック・ルーテル大学にてディビット・ダール氏、カリフォルニア大学にてローレンス・モー氏、北ドイツオルガンアカデミーにてハラルド・ヴォーゲル氏に師事する。現在は、米国聖公会オールセインツ教会(カリフォルニア州パロアルト)の音楽監督、ユダヤ教会エマニュエル会堂(同州サンフランシスコ)のオルガニスト兼聖歌隊指揮者、サンフランシスコ音楽院オルガン教授を兼任している。また会員であるアメリカオルガン協会サンフランシスコ支部では、過去には支部長、昨年までは特別企画委員会の委員として活発に活動している。2011年にサンフランシスコ支部においてアメリカ西部地区の研修会が開かれた際には、オープニングプレゼンテーターとしてオルガニスト、聖歌隊指揮者として登場した。

 

1985年にはヨハン・セバスチャン・バッハ生誕300年を記念し、12回に分け、バッハの全オルガン曲演奏会を行った。また2011年3月にはバッハが勤めた教会として有名なライプツィッヒにあるセントトーマス教会にてリサイタルを行った。同年6月には韓国のソウル神学大学100周年の行事へ主賓として招かれ、オルガンリサイタルはもとより、聖公会の典礼、講義、マスタークラスでの指導を行った。

 

ガーキ氏は、通奏低音奏者、ハープシコード奏者としても活躍しており、フィルハーモニア・バロック・オーケストラ、アメリカン・バッハ・ソロイスツ、ヴォイス・オブ・ミュージックと共演している。1998年にはシャンティクリア(男声アンサンブル)と共にアメリカ南西部とメキシコに演奏旅行し、メキシカンバロック音楽を演奏しCD を制作した。また、“歴史的重要なサンフランシスコのオルガン(Historic Organs of San Francisco)”のCD では、1988年にオルガン・ヒストリカル協会の全国大会の閉めの演奏者としてのユダヤ教会シェリス・イスラエル会堂での演奏を聴く事ができる。2008年には再びオルガン・ヒストリカル協会主催のワシントン州シアトルでのイベントに招待されている。ソロのオルガニストとしてはスタンフォード大学記念礼拝堂でのリサイタルを含めサンフランシスコ近郊で活躍するとともに、オルガン伴奏者としても地域のいくつかの合唱団はもとより、デイビット・コンテ、ラグナー・ボーリン率いるサンフランシスコ音楽院の2つの合唱グループとも共演し、多大な支持を得ている。またオルガン奏者としてサンフランシスコ交響楽団とも共演する事がある。ソロのハープシコード奏者としてもリサイタルを行い、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」などを演奏している。

 

ガーキ氏はまた、2008年にユダヤ教会エマニュエル会堂で行われたアメリカ・カンター協議会の全国大会では、エルネスト・ブロッホがこの会堂の為に1933年に作曲した、バリトン独唱と合唱、管弦楽の為の「聖なる典礼(Avodath hakodesh)」でフルオーケストラ、合唱を指揮した。レナード・バーンスタインの音楽の記念演奏会を含め、ユダヤ教音楽を指揮する事も多く、2001年にはユダヤ教会エマニュエル会堂のカンター、ロズリン・バラック発案による現代 ユダヤ教音楽のCD 製作に当たり、2つの重要な作品の指揮を担当している。

 

Kaori Goto (後藤 香織 •ごとう かおり)

フェリス女学院大学音楽学部器楽科パイプオルガン専攻卒業。同大学院音楽研 究科修士課程(パイプオルガン専攻)修了。日本オルガニスト協会「第29 回オルガン新人演奏会」出演。米国ボストン(New England Conservatory of Music) にて林佑子氏に師事する。2005年・2014年「ゲラルデスキ賞」2008年「ピストイア賞」受賞。2009年「W.Hermans 国際オルガンコンクール」ファイナリスト。これまで、北独Stade のコスマエ教会(Schnitger/1675)ヴィルハディ教会(Bielfeldt/1736)伊国Pistoia の大聖堂(Tronci/1793)聖霊教会(Hermans/1664)の歴史的名器をはじめ、ドイツ, イタリア, スイス, ベルギー, アメリカの演奏会や音楽祭などに出演。2006年から10年間、石巻市「遊楽館」オルガン事業を行う。平和学園(湘南アレセイア)パイプオルガン講座講師。尚絅学院大学オルガン講座講師。「仙台オルガン協会/Organ Friends」代表として、宮城県 内の音楽企画をサポートし、パイプオルガンの普及に努めている。鍵盤楽器の演奏と作編曲・音楽制作やプロデュース等、国内外で活動している。(Ameba blog より

 

Mineko Kojima (小島 弥寧子 •こじま みねこ)

玉川大学芸術学科オルガン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。フェリス女学院大学ディプロマコース修了。大学院在学中福井直秋賞受 賞。フランス、スペイン、イタリア、ドイツ、スイス、アメリカなど各地のマスタークラスに参加。2003年度横浜みなとみらい ホール・オルガニスト・
インターンシップ修了。国内及びヨーロッパ、アメリカ各地でソロ、アンサンブル、オーケストラや吹奏楽団との共演、また近年では邦人作品の演奏にも積極的に取 り組んでいる。オルガンコンサートの企画、コーディネートにも力を注いでいる。これまでにオルガンを富永哲郎、伊藤繁、酒井多賀志、藤枝照久、早島万紀 子、三浦はつみ、武久源造各氏に、スペインのオルガン音楽をA.セア・ガラン氏に師事。

 

現在明福寺ルンビニー学園オルガニスト及びオルガン教室講師。武蔵野大学非常勤講師。2015年3月まで9年間築地本願寺の副オルガニストを務めた。
日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。ホームページ
 http://minekokojima.com
 ブログ:築地のお寺でパイプオルガン

 

Dr. Naki Sung Kripfgans (성낙희•ナキ・スング・クリプフガンス博士)

北アイオワ大学音楽専攻卒業。ミシガン大学大学院修士課程ピアノ専攻修了。同大学大学院博士課程にて、典礼、教会、ユダヤ教音楽演奏において音楽芸術博士号を取得。大学院在学中には、ミシガン大学よりジェームス・A・ウォルグリーン奨学金(James A. Walgreen Keyboard Scholarship)など数多くを受賞。またコンクールに於いても、全米音楽教育者協会主催のコ ンクール(MTNA Young Artist Competition) 青少年ピアノ部門で入賞、アイオワ州デモイン交響楽団主催青少年コンクール(Des Moines Symphony Young Artist Competition)でグランプリを受賞。オルガンをマリリン・メイソン、マリロー・クラッツェンスティーン、アン・マリー・リグラー各博士に師事。

 

韓国生まれで1995年に渡米、米国内を問わず、ドイツ、ロシア、韓国などで活躍中。2009年ドイツ、ザールラント州シュティフツ教会でヨーロッパデビューを飾り、その後二年間に二度ヨーロッパ、ドイツザールブリュッケン市へ招待された。2010年には1989年設立の傾聴(Hör Zu)コンサートシリーズの本拠地、ゴシックリバイバル教会であるヨハネス教会での演奏、翌年には国際オルガンフェスティバル(Orgues sans frontiers)にてソロリサイタルを行い好評を得た。

 

米国ミシガン州ミシガン大学オルガン協議会にはソリストとして出演、2012年にはミシガン大学オルガン即興演奏コンテストにて優勝。ミシガン大学オルガンシンポジウム、アメリカオルガニスト協会アナーバー支部主催のコンサートなどで演奏活動を行っている。

 

2002年より米国ミシガン州アナーバーメソジスト教会専属オルガニスト、ミシガン大学音楽・演劇・舞踏スクールにてピアニストとして活動中。2013年にはオルガンソロアルバムをリリースホームページ http://www.nakikripfgans.com

 

 

プログラム 注解

 

ディートリッヒ・ブクステフーデ(Dieterich Buxtehude)の前奏曲ハ長調はおそらく、完成したブクステフーデのオルガン作品において、最も人気がある作品です。「幻想曲形式」のこの作品では、フリースタイルと厳格なフーガの部分を伴うペダルソロも含んだトッカータの様なフィギュレーション(決まりきった音型の使用)が互い違いに表れます。このハ長調の作品のように、多くの作品は、フリー・フーガ・フリー・フーガ・フリーの5つの部分で構成され華やかな始まりと結びがあります。二番目のフーガは、力強い重厚な低音のシャコンヌに引き継がれます。結びのトッカータはブクステフーデの作品中で最も素晴らしい物のひとつです。

 

ヤン・ピーステルスゾーン・スウェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck)は、「ドイツオルガニストの父」と呼ばれていました。数えきれないほどのドイツの都市国家や教会は、所属のオルガニストを研修の為にアムステルダムの彼の元へ派遣しました。スウェーリンクは、高度に洗練された擬音作品、華やかなトッカータ、エコーファンタジー、コラール作品など数多くのオルガン作品において優れた例とされるような作品を残しました。今日は、ルーシーが備えている室内楽のレジストレーションが引き立ち、そして味わえるような楽しい世俗音楽の変奏曲の中からの一曲を演奏します。

 

音楽芸術において偉大な作品として挙げられるのが、バッハ (Johann Sebastian Bach)の「フーガの技法」です。これは、バッハの最晩年で編集され、バッハ自身によって主に二つの出典(初期の写本版と死後に印刷出版された版)が保存されていました。作品について何世紀にも渡って多くの論争がされている主な焦点は、印刷された作品の形式は「オープンスコア」(各声部一段ずつの楽譜)で書かれていること、そして演奏楽器が指定されていないことの二点です。その上、大規模な3重フーガ(共通の主題を含まない3つの主題を持つ四声フーガ)は、未完で残されていました。音楽学者のデイビット・モロニー (Davitt Moroney)は、ハープシコードを理想の演奏楽器と断言して補筆出版し、この未完成の最終フーガに曲集のメインの主題を織り込んだ素晴らしい結びを付け加えました。今日演奏する第一曲は、バッハ独特の教訓的な厳格さを表す反面、とても美しく、終盤には二度に渡って劇的な静寂が突如訪れます。そして、曲の終わりのペダルポイントでは、「バッハはたぶんこの曲集でオルガンを理想の演奏楽器としたのではないか?」と言う疑問が湧くのです。

バッハは、いくつかのハ長調の前奏曲とフーガを作曲しました。その中でBWV545は、とりわけ豊かな展開を繰り広げます。バッハは、元々の前奏曲に数小節のトッカータを冒頭部と完結部に加えました。他の出典では、この曲は変ロ長調で書かれているようです。また、ある出典では、バッハはトリオソナタ第5番 (BWV 529)から緩慢な楽章 (Largo)を加えています。今日は、バッハがフーガに続いてトリオを演奏したのではと言う意図に反して、前奏曲・トリオ・フーガ形式で演奏します。フーガは簡潔な力強い2分の2拍子で書かれています。

 

ニコラ・ド・グリニー (Nicolas de Grigny)の1699年に出版されたオルガン曲集には、完全なミサ形式の曲集(23のオルガン曲と、曲間に歌われるグレゴリオ聖歌)そして5つの聖歌変奏曲集を含む、フランス古典オルガン音楽の優れた曲集のひとつです。J.S.バッハは、ド・グリニーの全部の曲集を模写することには十分価値があると思ったそうです。「来り給え、創造主なる精霊よ」によるディアローグは、5楽章からなる素晴らしいペンテコステの晩祷の聖歌の変奏曲の終楽章です。今日の演奏では、ルーシーの華やかなフレンチトランペット、クラリオン、コルネットの音色を、高音と低音のソロで交互に、そして始めと終わりでは全部一緒 (Grands Jeux)に聴く事が出来きます。

 

メンデルスゾーン (Felix Mendelssohn-Bartholdy)の主なオルガン作品として「6つのオルガンソナタ」(元々はイギリスの出版社の為に「ヴォランタリー」として書かれた)と「3つの前奏曲とフーガ」があげられます。「前奏曲とフーガト長調」は愛らしくロマンティックでなおかつ8分の6拍子の弾むような前奏曲と古典的作風の中に主題を取り込んだ2分の2拍子のフーガを組み合わせています。フーガに二カ所ある長いペダルポイントでは手鍵盤で奏でられる和声ヘの関心を呼び起こします。

 

日本のコンサートオルガニストであり、作曲家である近藤岳 (Takeshi Kondo)は、また東京藝術大学非常勤講師、国立音楽大学非常勤講師であり、ミューザ川崎シンフォニーホール専属のオルガニストでもあります。文化庁派遣芸術家在外研修員としてフランス(パリ)に留学し、パリ・ノートルダム寺院の正オルガニスト、フィリップ・ルフェーブル氏にオルガンおよび即興演奏を師事しました。「きらきら星の主題による変奏曲」は、2003年横浜みなとみらいホールの委託作品で、よく知られた童謡の魅力的で夢中になってしまうような変奏曲です。変奏の一曲一曲は、ルーシーが持つ『62種類のストップ』に渡る広範囲の音の色彩感を披露するために特別に書かれました。ナキ・スング・クリプフガンスはこの曲を米国ミシガン州アナーバーメソジスト教会のキンボル/ロイターオルガンで録音しています。http://www.nakikripfgans.com

 

フランスの作曲家ポール・デュカス(Paul Dukas)は、1940年のディズニーアニメーション映画「ファンタジア」でも使用された、交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」の作曲者として広く知られています。デュカスはブラームスを含む、多くの有名な作曲家と同様完璧な作品を目指し、自分自身の音楽を破棄してしまうほどでした。今晩は、バレエ曲「ラ・ペリ」から華麗なリズムと尖ったような和声、交互して詩的でロマンチックな美しいの瞬間を持つ「ファンファーレ」を演奏します。デュカスの作風は、ベルオーズやドビュッシーからヒントを得た良質な古典と現代の融合と言えます。有名な弟子には、モーリス・デュリュフレ、オリヴィエ・メシアンの二人があげられます。

 

「ユニーク」とは言い過ぎかもしれないが、バッハ全作品においてBWV 572をユニークと呼ぶのは難しい事ではありません。作品のタイトルと3つの楽章のタイトルはフランス語(Très vitement, Gravement, Lentement)で書かれています。始めの楽章では展開された単声のパッセージが、カウンターポイントがほとんど欠けている重厚なフレンチ様式の雄大なプラン・ジューの楽章へ導きます。バッハは単純に豪華な和声に高揚しているのです。よく知られた話にペダルの低音のシは同時代のフランスの楽器でリベラメント(ペダルの最低音のドの下へ2、3の追加の音)が無ければ弾けない、ということがあります。バッハはおそらく、フランスのオルガニストの為にこの曲を作曲したのでしょう。脈打つようなペダル音が加わり展開されたもう一つのパッセージは、この珍しい圧倒的な作品を終結させます。

 

日本★日本の四季の主題による幻想曲 / 編曲・後藤香織(1978-)春(さくら)夏(盆踊り・七夕)秋(うさぎ・ふるさと・赤とんぼ)冬(からたちの花)の旋律を主題として、北独コラール様式,フゲッタ, 二重奏, 三重奏, 仏近現代の和声を使用した変奏曲,ペダルの定旋律と対位法など、多様なオルガンの歴史的即興演奏の形式で構成されている。欧州の演奏会用に準備した小さな即興ノートを、オルガン講座の受講生の教材として書き直した作品である。

 

有名なトッカータがヴィドール(Charles-Marie Widor)のオルガン交響曲第5番の終わりを飾ります。この曲は1960年に行われた、英国マーガレット王妃とアンソニー・アームストロング=ジョーンズの結婚式で使われた事で広く一般に知られるところとなりました。華麗なアルペジオと突き刺さるように繰り返される和音を伴ったフルオルガンの手鍵盤の絶え間ない動きは、足鍵盤で一番高いファの音で始まり、長い高音と2オクターブ下の短い同音で繰り返されるというメロディーで応じられます。冒頭部の後、音量はスウェルボックスを閉めたほどに下げられます。素晴らしく積み重ねられた豊富な先行音は、冒頭部のアイデア再現部へと導きます。この時は足鍵盤のメロディーはオクターブで奏されます。コーダ部がこの華麗な曲を結びます。

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Brochure

 

時間割: 11月4日 (水曜日):

 

コンサート12:00 - 13:00 (開場  11:30)

 

デモンストレーション コンサート 19:00 - 21:00 (開場 18:30)

 

 

横浜みなとみらいホール コンサートカレンダー

 

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